集合住宅にユートピアを求めて
19世紀半ばから20世紀前半にかけて建設された集合住宅。
ドイツではノイエ・フランクフルト。
ユートピアを求めた軌跡です。
電気グリルは、ドイツで最初の装備とされる。それを労働者住宅で実現したマイとリホツキーは、労働者層の生活向上により、「それまでなかった世界=ユートピア」をノイエ・フランクフルト」で実現しようという固い決意で結ばれていたに違いない。
帝都復興事業で建設された建築群の調査の一環として、私が1980年代半ばに現存していた「渋谷アパート」を訪ねたとき、入居者のための食堂や、燃料としての薪が屋外に野積みされている共同浴場を見て、この集合住宅団地に、ひとつの完結した「住の宇宙=ユートピア」を構築しようとした設計者の思いに共感を抱いた。