あいまいな日本
大江健三郎氏の小説は、
敷居が高くて手に取ったことがありません。
この講演記録で
ほんの少し大江氏に近づいたような気がしました。
井伏鱒二はそういう作家だった。その証拠に、私たちは井伏さんの新しい作品を読みます。同時に一番最初の作品を読むこともできる。子供の時に読んだものを、私は60歳近いんですけれども、今でも生き生きと思い出すことができる。それは将来も続くことでしょう。そういうことをさせてくれる作家がいい作家なんです。子供の時に読み始めて、老年になってもずっと読み続けることができる、そういう作家はいま世界に十人といないんじゃないかな。日本にはさらにいないでしょう。一人か二人でしょう。私の考えでは井伏鱒二と宮沢賢治。そのふたりの作家がいる。そして私たちに豊かな富を与えてくださっているということを私たちは忘れてはいけない。そのことを言いたいわけなんです。
最近聞いた話ですが、真偽のほどはよくわかりません。