「自然」に耳を澄ます
イメージを言葉で表したような本。
難しくてよくわかりませんでした。
宮下奈都の「羊と鋼の森」(文藝春秋)です。◇◇「羊」も「鋼」も「森」もピアノの素材の一部です。小説のタイトルは、動物、金属、植物が一緒にあることと同時に、それらがひとつところにある場を表します。一つの場、共存する場がピアノなのです。あわせて並べられることがあまりない。異なった感触のものたちがひとつところに。この秘密をタイトルは明かし、ともにこの地球上にいる、自然のなかに見出しうるものであることを気づかせてくれる。同時に、ピアノを弾く人によって、羊なのか鋼なのか、どちらの表情をクローズアップできるか、その両義性を示してもいる。