別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

イングランドの人々のゲルマン的なもの

 

イギリスの不思議と謎 (集英社新書)

イギリスの不思議と謎 (集英社新書)

 

 

イングランドは語源的には「アングル人の土地」という意味である。アングル人は、ローマ帝国を弱らせた例のゲルマン民族の一派だが、紀元後五世紀ころイギリスにやって来たときには、すでにサクソン人やジュート人と混血して一体化していた。彼らはイギリスでは新参者であり、その地にはすでにケルト人が千年以上前から住み続け、その頃はローマの支配を受けていた。アングル人(またはアングロ・サクソン人)に追い立てられたケルト人たちは、多くが「アングル人の土地」の周辺に逃れ、前からいた様々なケルト系の人々と、あるいは争い、あるいは何とか共存しながら、各地に小国を打ち立てた。そういう周辺地域の一つがスコットランドだった。

 

とはいえ、ウェールズナショナリズムにはきわめて文化的な側面が目立つ。殊に自分たちの言葉と音楽を守ろうとする意欲が強く、ケルト語の一派であるウェールズ語を話せる人々はウェールズ人の二割を占める。アイルランドスコットランドではゲール語ケルト語の別の一派)を話せる人が1~2パーセントであることを考えると、ウェールズ人の努力が並大抵のものではないことが読み取られる。

 

一方では連合の歴史もすでに相当古くなっているので、当初の対立が未だに残っていると同時に、隣人としての親しさが生まれる場合も少なくない。あるいは相互に移住を繰り返すうちに、宗教や民族の違いを意識しないようになることも多い。イングランドの人々のゲルマン的な謹厳実直さ・実務能力と、他の三地方(スコットランドウェールズ北アイルランド)のケルト的な快活さ・芸術的感性がまじりあって、相互に悪口を言いながら実は相手を信頼するようになるという事態も生まれる。 

 

イギリスがキリスト教の国であるというのは今でも決して間違いではないが、それは日本が仏教国であるというのと同じような意味になってきている。「ほとんどの者は幼児洗礼を受けるために教会に抱かれて行き、あとは埋葬のためにかつぎ込まれるまで教会とは無縁な生活を送る」(安東伸介、小池滋、出口保夫、船戸英夫「イギリスの生活と文化事典」)。つまり、宗教に無関心ではないにせよ、現実の生活はそれほど宗教とかかわりがなくなっているのだ。

スコットランドなどでは小さな教会がそのまま居酒屋になっていたりします。 

 

 

言語分類すると、

▽ゲルマン語派

 英語 オランダ語 ドイツ語 ノルウェー

ケルト語派

 ウェールズ語 ブレトン語(フランス北西部ブルターニュケルト語)

 アイルランド語アイルランドゲール語) スコットランド高地ゲール語

英語はゲルマン系の言葉だから、同じゲルマン系のオランダ語やドイツ語にずっと近い。ケルト語は英語とははるかに遠い外国語である。

 

ちなみに

▽イタリック語派

 フランス語 イタリア語 スペイン語

 

何か国語も話すヨーロッパ人がいますが、もともと似ている言葉なら習得しやすいですよね。