クリティカルシンキング(批判的思考)
表層的で短絡的な意見が散見されますが、
一部に面白い切り口があると思います。
人類の歴史上、これまで最も真面目でかつ、まじめの罠にハマってしまった最悪の人は、ヒトラーの部下だったアドルフ・アイヒマンでしょう。
彼はナチス親衛隊のゲシュタポ・ユダヤ人課課長として、まじめに、そして忠実にユダヤ人の組織的虐殺の歯車としての業務を遂行しました。
その結果、約600万人ものユダヤ人を死に追いやったのです。アイヒマンは「自分は上の命令に従っただけ。自分に責任はない」と語った。
まず必要なのは、「すべての前提を疑ってみる」「全ての前提を鵜呑みにしない」という考え方です。
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こうした健全な疑いを持って事象を読む手法は欧米では「クリティカルシンキング(批判的思考)」という言葉で定着しています。
批判的思考について - 文部科学省
あるとき、強制収容所が火事になり、ハンナは閉じ込めていたユダヤ人を死においやってしまいます。のちの裁判で裁かれることになるハンナは、「私は看守だから、囚人たちを外に出すわけにはいかなかった」と述べます。
小説はベルンハルト・シュリンクの「朗読者」。
大企業がまじめに行動すればするほど、イノベーションから遠ざかるという事実を定量データを用いながら分析した本。
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン,玉田俊平太,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2001/07
- メディア: 単行本
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「無謬(むびゅう)」とは理論や判断に間違いのないことです。私たち日本人はお上(政府や大企業)に対して、ある意味でびっくりするくらいの信頼をおいています。
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こうした資質が日本人に備わっているため、日本社会の特徴の一つに「祭り上げ」と「神殺し」というプロセスがあります。これは、まずは自分が後で責任を取るのを防ぐために、普段から「神のように賢い人や集団」という存在を勝手に作り出し、祭り上げておくのです。
この「まじめの罠」である住宅購入を煽っているのは政府です。政府は不景気の本当の原因のデフレは放置しておきながら、住宅市場さえ活況なら景気がよくなるかのような誤ったプロパガンダを行ってきました。さまざまな税制上の優遇措置を使って「家を買え、家を買え」と宣伝しているのはそのためです。ぃまだに、新聞には不動産チラシだけは常に入り、テレビでも手を替え品を替え「家を買え、家を買え」と煽っています。まじめな人はこういうプロパガンダに弱いので、頑張って努力して家を買ってしまいます。「みんなが買っているから」と言ってまんまと乗せられてしまうわけです。
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さらに言えば日本の住宅は遠距離通勤に加えて「レモン市場」を形成しています。レモン市場とは経済学用語で、買い手と売り手の情報格差が大きく、不良品が出回りやすい市場のことです。レモンとは、アメリカの粗悪な中古車の俗称です。以前住宅の耐震偽装の問題が発覚しましたが、そもそも住宅は買い手にとっては一生に数回あるかないかの買い物であるにもかかわらず、一方の売り手は毎日住宅を売っているわけですから、レモン市場になりやすくなるのです。
典型的なレモン市場である中古不動産市場の3つの問題点とは!?~中古車市場との比較で考える~ | 不動産online