見えない労働を担う人々
食事の支度や後片付け、洗濯、掃除、育児に介護・・・。
誰もが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が、
なぜ正当に評価されないのか?
家事労働ハラスメント――生きづらさの根にあるもの (岩波新書)
- 作者: 竹信三恵子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/10/19
- メディア: 新書
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介護プランを作るケアマネージャーには、介護保険から報酬が出るが、在宅介護の要請に合わせて細切れのシフトをうまく組み合わせるシフト表づくりなどは報酬の対象にならない。介護と介護の間の「隙間時間」を使って対応しろということになる。「専門性は評価されない。家庭内の女性がやってきたため、女ならだれにでもできる仕事という位置づけとしか思えない」と、彼女は納得できない表情だった。
インチキな自己責任の論理
著者のいう「自己責任」とは、
自由の対価としての責任ではなく、「オレは責任をとらないよ」と弱者に責任を押し付ける保身と欺瞞の言語。それが「自己責任」です。
ところが不思議なことに人間というものは、寝たきりになってしまうと生きたくなるものなのです。以前、テレビの楽屋でビートたけしさんが、感慨深げにこう私に言ったことがあります。「和田先生、寝たきりになってまで生きていたくないなんて、嘘だよな」私は「いや本当にそう思いますよ」と言いました。たけしさんのお母さんは、元気な時は、「たけし、寝たきりになったら殺しておくれ」と話していたのに、いざ寝たきりになるとこう言ったのだそうです。「たけし、医者に礼を払っているか?」要するに、人間は、「寝たきりになっても生きたい」というわけです。寝たきりになる前は誰だって、寝たきりになってまで生きていたくないと思うわけですし、認知症になってまで生きていたくないと思うものです。しかし、それはあくまで元気なときの想像なのです。しかも、自分の意志が後で変わるかもしれません。
ムダな仕事を増やすファサード
頑張りを引き出す装置は人事考課制度の情意考課。
「あいつはよくがんばっているから、ちょっと良い点をつけてやろう」
そんなことありがちではありませんか。
そこで、がんばっているフリをするようになるのです。
・普段はダラダラと仕事をしていながら、幹部がやって来た時だけ張り切って仕事をする人。
・たいした仕事をしていないのに、忙しそうに毎日残業し、有休をとらないことを自慢する人。
・周りに聞こえるよう必要以上に大きな声で話し、会議では必ず発言して存在感を見せつけようとする人。
・無理だと分かっているところへでも、勇んで飛び込み営業に行く人。
組織論では、このような行為を「ファサード」と呼びます。ファサードは建築用語で建物の正面のことであり、表向きだけの見せかけを意味します。それと同じように良い仕事をしているかのように装ったり演技したりするわけです。
大事な仕事は最適基準、それ以外の仕事は満足基準という「ダブルスタンダード」でいこうと決心したわけです。
- 作者: ジェームズ・G・マーチ,ハーバート・A・サイモン,高橋伸夫
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分自身の感覚のモノサシを価値基準とする
正しい感覚で、言葉の数を増やし、
表現を豊かにするためのプロセスを解説しています。
言葉にして伝える技術――ソムリエの表現力(祥伝社新書214)
- 作者: 田崎真也
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2010/10/01
- メディア: 新書
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「こしあんの原料の小豆は、北海道・十勝産の大納言小豆を使っています」こういう表現もよく見かけます。産地名を明らかにし、されに品種名まで明記しています。ところが、これも実際には、おいしさとは直接結びついていない表現です。
◇◇
この「思い込み」があるからこそ、日本では世間を大きく騒がせている産地偽装の問題が次々をと起こるわけです。この「思い込み」は、日本人特有の「ブランド信仰」という言葉に置き換えられます。自分自身の感覚のモノサシを価値基準とせずに、人や世間の決めた任意の価値基準を絶対的に信じてしまうというのが、日本人の弱点であり、それが裏目に出たのが産地偽装の問題と言えばいいでしょうか。