夢見る人、ドイツ
根強い「ドイツ見習え論」に警鐘を鳴らす本。
東日本大震災時に、海外に恐怖と不安を広めたドイツメディア。
中国に接近するドイツ。
EUの中心的存在、ドイツ。
鉄のような女、メルケル。
ドイツに対する様々な疑問が解けていきます。
しかし、ドイツは緊縮財政の旗を降ろすことはしない。なぜドイツは頑ななのか。
第1に原則の問題がある。ドイツ人はまず、決まりは守らねばならない、と考える。◇◇
第2に、よく指摘されるインフレへの警戒感がある。歴史を遡ると、ヴァイマール時代の1ドル=4兆2000億マルクにも達した天文学的インフレの経験がある。その混乱がナチスの台頭につながった。
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第3に財政規律が競争力の強化や、経済成長の前提となる、との理論も用意されている。いわゆる、非ケインズ効果である。
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第4に、ドイツ人の国民性、生活態度がある。無駄遣いをしないこと(倹約)こそ美徳という倫理(ドイツ語で倹約家を象徴するものとして「シュバーベンの主婦」という言葉があり、メルケルにその名が冠せられたこともある)は、確かにドイツ人がほぼあまねく順守している基本的な生活態度である。