別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

樹木の生き方

著者は日光植物園の園長さん。

 ヒノキ、ブナ、ケヤキなど代表的な26種を紹介。

常緑樹と落葉樹の違いの意味について教えてくれます。

一度ではなかなか分かりませんが。

 

カラー新書 日本の樹木 (ちくま新書)

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ところで樹木はどのようにして低温に耐えるのだろうか。
細胞は細胞の中に氷ができてしまうと壊死してしまう。氷が細胞の中にある構造を破壊してしまうからだ。そのため、細胞の中に氷ができないような仕組みによって低温に耐えているのである。真水ならば0℃で凍るのだが、細胞には様々な物質が溶けているため、真水ほど簡単には凍らない。秋になると植物は細胞に溶けている物質の濃度を上げる。蔗糖などを細胞にため込む。これである程度低温に耐えられるようになる。
しかしそれだけでは厳しい冬を乗り越えることはできない。
植物細胞の場合、細胞の外側の水がまず凍る。これを細胞外凍結と言う。細胞の外側の水は真水に近いので凍りやすいのである。細胞外凍結が起きると細胞から水が出ていく。この水が凍ると、さらに水が出ていく。こうして細胞の中の物質の濃度はどんどん上昇し、さらに凍りにくくなる。マイナス10℃にもなると、細胞の中の水の90%程度が細胞の外に出てしまう。このとき、縮んだ細胞の中身はドロドロでもう凍ることは無くなる。種によって耐えられる温度は違うのだが、マイナス50℃にもなるシベリアのタイガでも植物が生きていけるのは、基本的にこの細胞外凍結のおかげだ。

 

ここ数十年、全国的にシカが増え、その食害が問題となっている。その一因はカラマツ人工林である。シカの主食はササの葉であることが多い。原生林の林床は暗くシカの餌となるササはほとんどない。だから本来シカは少なかった。ところがカラマツ人工林の林床は明るくササが繁茂しやすい。シカはこのササを食べることで増えてしまったのである。人間活動がシカを増やしたというわけだ。