ネガティブなことには「大丈夫」
相手を説得するときに私に足りなかったもの、
それは言い換え。
内容は分かりやすくてためになります。
ところが、小出監督はこう言い換えるのだ。「どんな状態の時でも『せっかく』と思えばいいんだよ。そうすれば、すべてが力になる」◇◇有森裕子は当時を振り返って「『せっかく』という一言をつけるだけで、本来はマイナスに思えることも、プラスに変えていけるんだということを教えていただきました」
仕事でドジばかり踏んで悩んでいる人を励ますなら、天台宗開祖最澄の次の言葉に置き換えれば、大きくうなずくはずだ。
「最下鈍(さいげどん)の者も、12年を経れば、必ず一験(いっけん)を得ん」
最下鈍とは「愚かで才能のない人間のこと」という意味で、最澄自身のこと。12年とは、最澄が比叡山にこもって修行した年数。
実はこの言葉が一番心に響きました。
30代になり、取材が縁で知り合ったヤクザの長老から、高価なモンブランの万年筆をプレゼントされる。長老はこう言って差し出した。
「俺には無用のものだ。もらってくれないか?」
もらってくれないか--------という一言に私は感激した。「やるよ」と言っていい立場であるにもかかわらず、へりくだった言い方をしたのだ。◇◇このことがキッカケで注意して聞いていると、ひとかどの人物は、自分が相手より優位な立場にあるときは、必ずへりくだった言い方をすることに気が付いた。
ネガティブなことには「大丈夫」とポジティブな言葉を加えて安心させ、ポジティブなことは「慎重に」とネガティブな一言をあえて添える。◇◇対比的に言い換えてみせるのが、相談に対する回答の基本原則ということになる。