観天望気(かんてんぼうき)
「風を見ることは雲の流れを見ること」
風と雲と雨は、つながっています。
古代からの日本人の経験と知恵が
言い伝えにより各地に残っています。
天気で読む日本地図―各地に伝わる風・雲・雨の言い伝え (PHP新書)
- 作者: 山田吉彦
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/03
- メディア: 新書
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漁師が海に出るとき、一番気になるのは風である。風はじきに波を起こすので、漁師にとっては風イコール波であり、波がどの方向から立ちどう伝わっていくか、船をあやつる者は神経を使わなければならない。
風は見えないが、風が動かすものは見える。木の葉を揺らすような小さな風ではなく、海の上では大きな流れとして風が動かす一番わかりやすいものは雲である。だから風を見ることは雲の流れを見ることになる。
私は観天望気の言い伝えについてアンケートをとることになったとき、気象庁の人と話し合った。その人は「局所予報だと、気象庁は勝てないでしょう」という意見だった。
そういえば、諸葛孔明が気象の知識に優れ、確か赤壁の戦いで東南の風を吹かせて風下にいた曹操軍の船に火を放ち曹操軍が大敗したと記憶しています。 昔は戦いの戦術を立てるうえでも観天望気が重要視されたに違いありません。
風が雲を呼び、雲が雨をもたらす、これが天気の変化の条件となるので、観天望気では風と同時に雲の観察が欠かせない。風を読み、雲を見ることが「日和見」には大切なのである。時間を追って雲がどのように生まれ、どう変化していくかを見るのである。
◇◇
雲は水蒸気をたくさん含んだ暖かい空気が上昇して冷やされ、水滴の塊となったもの。
では上昇気流はどんな時に生まれるかと言えば、
①日差しの強い時
②上空に寒気があって地上との温度差が大きい時
③寒気に暖気が流れ込んだとき
④暖気に寒気が流れ込んだときなどである。③や④のように暖気と寒気の間で激しい移動がある状態では、温暖前線や寒冷前線が生まれる。ほかに低気圧や台風の時にも雲が発生し、山に向かって風が吹いているときも雲が生まれる。山にかかる雲は動いているように見えなくても、そこでは常に空気が移動しているのである。
観天望気の言い伝え
http://www.shoankyo.or.jp/kisyou/pdf/khn2.pdf