「高い能力を持った人材が採用される」と勘違い
こういうことは、
もっと早く教えてくれないかなあ。
今さら遅いですけど。
働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書)
- 作者: 楠木新
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/04/17
- メディア: 単行本
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「わが社の人事課長が学生を採用する基準を一言で述べよ」という課題を面接で聞かれたらどう答えますか?◇◇結論から言えば「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか」が基準なのである。◇◇平たく言えば会社のオジサンたちが求めているのは、「能力の高い人」ではなく、「同士」なのだ。しかしながら、実際の採用面接では、自分のウリやPRネタを必死で話す学生が多い。彼らは「高い能力を持った人材が採用されるのだ」と勘違いしているからだ。おそらく半数以上の学生はこの誤解によって、初めの時点で不合格になる。
「同期」が成果主義を阻む◇◇「同期」は、社員の帰属意識と競争意識を同時に昂進させる巧みな装置である。欧米企業には存在しない、日本企業に独特なこの仕組みがある限り、「成果主義」は日本企業の人事評価の解ではありえない。◇◇長く銀行に勤めた後に作家に転じた江上剛氏の企業小説「失格社員」(新潮文庫)にも第一選抜についての記述がある。◇◇この小説に描かれている人事評価のやり方は、伝統的な大企業においてよく用いられている。新卒一括採用で入社した社員を年次別の群団にして、その同期入社の社員を横並びにして評価するのである。なぜこのような評価方法が必要かというと、会社や人事部は個人の能力を一人一人直接把握することは不可能であるからだ。それぞれの所属の管理者の査定をもとに評価を確定していく。その手法として、入社年次別に評価の上位からグループ化して序列を決めていくのである。
毎年毎年、ところてん方式で社員が後ろから順繰りに押し出されてくる。「働かないオジサン」を生み出す構造を形作っているのは、毎年の新卒一括採用とピラミッド型の会社組織であるといえそうだ。欧米企業のように、ミドルやトップ層に必要に応じて中途採用が行われるのであれば何ら問題は生じない。そういう意味では「働かないオジサン」という課題は日本独特のものであり、欧米のマネジメント本をいくら読んでも解答は見出せないのである。