別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

「入りやすい」「見えにくい」

 

犯罪は予測できる (新潮新書)

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だがしかし、悲観的になる必要はない。犯罪者が場所を選んでいるのなら、そこがどこなのかがあらかじめ分かれば、先手を打って犯罪を未然に防げるはずだ。こうした視点から犯罪機会論は、犯罪者が選んだ場所(犯行現場)の共通点を探ってきた。共通点さえ抽出できればそれを「ものさし」として犯罪者が選んでくる場所(未来の犯行現場)を予測できるからだ。
こうして導き出されたのが「入りやすい」「見えにくい」という二つのキーワードである。

 

この「入りやすい場所」で起きた典型的事件が、大阪教育大附属池田小学校事件(2001年)である。包丁を持った犯人は、「開いていた」自動車専用門から校内に侵入して児童8人を刺殺した。犯人は法廷で「門が閉まっていたら入らなかった」と述べている。

 

もっとも、面識のある者による犯罪に対して、犯罪機会論が全く無力というわけではない。例えば生徒によるいじめは教師の目が届かない「見えにくい場所」で、児童虐待やドメスティック・バイオレンスは近所付き合いがない「見えにくい家庭」で、業務上横領やセクシュアル・ハラスメントは内部統制が甘い「見えにくい職場」で起こりやすい。