共感-----言葉の反復と『体験返し』
内容についてはいろいろ異論反論あるようですが、
それはどうでもいいのです。
この著者がクスッと笑わせてくれる考え方、言い回しが魅力です。
そして、それこそが著者の本望ではないかと推測しています。
「男は邪魔なのよ」
妻が続けた。簡潔に言うとそういうことらしい。
-------邪魔なの?
「邪魔。だって、何の役にも立っていないじゃないの」
------すぐ絶句しちゃうんです。
彼女に圧倒され、思わず私は自身の悩みを打ち明けた。妻に何かを言われる度に私は絶句している。特に「どういうつもり?」と訊かれると絶句する。「私のこと愛してる?」なら「うん」と言えるが、続けて、「どこを愛してる?」と訊かれると絶句する。絶句すると我ながら何も考えていなかったような気がして、そのことにまた絶句するのである。
男として よくわかります
「要するに女には『生理的に嫌い』というやつがあるんですよ」美容整形外科医はそう言って苦笑いしていた。確かに男はあまり「生理的に嫌い」とは言わない。そもそも私などは「嫌い」とも言わない。「好」も「嫌」も女編(へん)だし、もしかするとこれは女性特有のわかり様なのではないだろうか。
「奥様が『腰が痛い』と言ったらどうします?」黒川さんが私にたずねた。
◇◇
「多くの男性はすぐ『医者に行ったのか』というんです。これはもう最悪。」
◇◇
「そこには共感が無いじゃないですか」
◇◇
「女性同士の場合は、『私もヒザガ痛くて痛くて』と言ったりするんです。重要なのは言葉の反復と『体験返し』です。自分の似たような体験を話し返すんです」
真剣な眼差しで語る妻。彼女が居ない世界を考えると、どんどん自分が抜け殻になっていくような気がする。
「そうなって初めて、あなたは後悔する。ズタズタになって苦しんで、のた打ち回る。ふふふふふ」
私が「えっ?」と絶句していると、彼女はこう続けた。
「そうなるように仕向けているから」
------仕向けているの?
意外な発言に、私は目を丸くした。
「そうよ。私なしでは生きられないように、もうあなたの回路に入れてあるから」
-----入っているわけ?もう?
怖い