別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

安心して山に登る知恵

登山者の無知により事故やトラブルが多発しています。

登る前に読みたい一冊。

巻末に「中高年向け百名山」が収録されています。

 

山で失敗しない10の鉄則 (文春新書)

山で失敗しない10の鉄則 (文春新書)

 

 

しかし、登山はファッションではない。転倒滑落、道迷い、低体温症、山に登ることのリスクは大きい。高度が100メートル上がると、気温は0.6度下がる。東京が30度の真夏日でも槍ヶ岳の頂上は12度。風速が1メートル増すと、体感温度は1度下がる。槍ヶ岳の頂上で風速10メートルの風が吹いていると、体感温度は2度だとういうことを、彼女たちは知っているのだろうか。

 

さて、槍ヶ岳と東京の標高差はいくらで計算しているでしょう?

 

槍ヶ岳 標高

 

熱中症にご用心という次第。日射病・熱射病の総称が熱中症。カンカン照りの日差しの中、長時間行動していると発汗中枢がマヒし、汗による体温の放出ができなくなると、頭痛や吐き気、めまいなどの症状が出てくる。体温の放出ができないから、体温はさらに上昇する。これが日射病。速やかに体温を低下させることが必要だ。

無風、高温多湿下で長時間行動したり、水を飲まなかったり、真水のみ飲んでいたりすると、頭痛・吐き気などの脱水症状がでてくる。これが熱射病だ。血圧が下がっているので、衣服を緩めて安静にすること。塩欠乏による脱水症状なので、水だけ飲ませると悪化する。昔から伝わるように梅干しがいい。塩分の補給になり、含まれているクエン酸が疲労素である乳酸を分解してくれる。

 

堅苦しい表現になるが、地図と実際の地形とが1対25000分の1の相似の位置関係に広げられること、それが地図の正置である。正置に必要な道具が磁石である。地形図の左右の辺は上(北)に伸ばしていくと北極点に到達する。しかし、磁石の赤い針は北極点ではなく西に偏ったポイントを指す。そこを磁北と呼ぶ。地形図の欄外に西偏の角度が記されているから、分度器を使って地図上に磁北線を引くといい。磁石の赤い針を磁北線に重なるように地図を広げれば、地図は正置されている。登山中は球形のたびごとに地図を広げ(正置)、現在地を図上に確認していけば道に迷うことはないはずだ。

 

しかし、街中の歩幅で坂道を上ると、一歩の段差が大きくなるから脚筋力の負担が大きくなる。登山の主導筋である大腿四頭筋がつってしまったり、ハーハーゼーゼーと息がきれたりする。山でバテない一番の法則は、歩幅を小さくゆっくり歩くこと。後ろ足のカカトがあがってきたら、つま先で蹴りださず脚を引き上げ、足(靴を履いている部分)を出すのではなく、ヒザを出す。膝から下はまっすぐ降ろす。これで歩幅は小さくなる。踏み下ろした靴のかかとと後ろに残っている靴のつま先との間に隙間はない。それくらいの歩幅の小ささである。歩幅が小さければ一歩の段差も小さくなるから脚筋力への負担も小さい。