マネジメントがビジネスをダメにする
筆者は新たな一歩を踏み出す決心をして、
「本書を執筆するにあたり、私は勤務先を退職することにした」
そうです。
2010年発売当時、著者48歳(1962年生まれ)、
覚悟の一冊ということです。
マネジメントが下手だからビジネスがダメになったのではない。マネジメントなんかにうつつを抜かしているからビジネスがダメになったのだ。むしろ、余計なマネジメントなんかするな。
2002年、大手銀行がシステム障害を相次いで起こした時の話である。システム障害を起こした銀行の支店長が、謝罪のために取引先企業の社長を訪問した。私はたまたまその場に居合わせたのだが、社長が現れると支店長は次のように謝罪した。「このたびはご心配をかけて、大変申し訳ありませんでした」この謝罪を受けた社長は、怒り出した。「心配をかけて申し訳ない、とは一体どういう意味だ。こっちはシステム障害の間、取引ができずに困ったんだぞ。こういうときは、ご迷惑をおかけしました、と言って頭を下げるのが普通だろう。こっちからすれば、システム障害によって自分たちが被った損害が問題で、銀行は大丈夫か、なんて心配はしていない。・・・・」
厳密に言えば、富士通の場合、「成果主義人事」の内容が悪かったのではなく、「自分自身を変えないまま、成果主義というマネジメント手法によって他人を変えようとしたこと」に問題があった。それは「正しいのは自分(会社)であって、悪いのは他人(社員)という自己中心的なメッセージを組織内に広めることになった。そこから内部告発や権力争いが発生して、組織の崩壊が始まってしまったのだ。