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別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

郷中教育

歴史に学ぶことの重要性を教えてくれます。 

現代日本人に向けた警告の書でもあります。

 

 

歴史の読み解き方 江戸期日本の危機管理に学ぶ (朝日新書)

歴史の読み解き方 江戸期日本の危機管理に学ぶ (朝日新書)

 

 

これまでの日本社会は、会社でも役所でも、その組織に長く居続けて貢献した人が得をするような仕組みになっていました。転職をするとかえって損をするようにできていました。組織を渡り歩いて実績を上げるほど、キャリア的な信用が増すアメリカとは対照的でした。「会社の中で誰に地位を与えるか」といったとき、「それは一番この会社に長くいた人がいい」となるのが、かつての日本人の姿でした。今でもその考えは残っているでしょう。このような伝統的な日本の組織文化は、大学であれ企業であれ、江戸時代以来の日本家族の文化と密接な関係にあったことに気付くのです。

 

転職された方の中には、

思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。

 

武士の家格も軍事編成でした。藩の武士には3つの身分があります。侍・徒士(かち)・足軽です。このうち、侍が上士です。家格がある。◇◇一方、福沢・大久保・西郷など50石以下の徒士は小役人で実務能力が有ります。家督相続時に筆跡とソロバンの試験がありました。能吏タイプが多い。◇◇旧武士の内、うすいこの徒士層が、実は、日本の近代化に大きな役割を果たしていました。乃木希典児玉源太郎大山巌・・・。日露戦争の将軍ほとんどが禄高50石ぐらいの徒士出身です、日露戦争の将軍に旧農民はいない。旧大名もいない。旧徒士がやっている。◇◇日露戦争までの日本人は偉かったとか、明治人は偉かったとか言われますが、偉いとされている明治人は、ほとんどが士族で、しかも徒士です。士族文化、中でも徒士の文化で育った特殊な人たちで一般の日本人ではないのです。しかし、それを言うと読者はつまらない。「坂の上の雲」にはそういう裏があるのです。

 

 

 

1850年ごろ、地球上で、人口の半分以上が読み書きできた社会は本当に少ないのです。(歴史家のカルロ・M・チポラの研究)◇◇ヨーロッパは南に下がるほど、識字率が低い状態でした。◇◇北ヨーロッパプロテスタントが多い。一方、南はカトリック教徒が多い。カトリックは聖書をあまり家に置きません。日曜日に教会に行くと聖書が教会に置いてあって神父様が口頭でキリストの教えを語ります。一方、ドイツや北欧はプロテスタントです。プロテスタントは家に聖書を備え、自分で理解しなければいけません。教会を通すことなく、聖書の教えを学ぶことで、神と自分との間に一対一の関係を作り上げるのが、プロテスタントの特徴です。ですから、子供の頃からしっかりと読み書きが教えられています。◇◇いまでもヨーロッパのEU諸国で所得の高いのは、かつて識字率が高かった諸国です。1850年ごろ、すなわち160年前の識字率の高低がそのまま経済格差となって、今日まで続いています。

 

カルロ・チポラ - Wikipedia

 

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郷中教育の研究書に松本彦三郎「郷中教育の研究」(昭和18年)があります。この中に薩摩の郷中の掟などが多く収録されている。◇◇このような学問を実地に試す薩摩の教育は「詮議」というものを生み出しています。「詮議」は一言で言えば、実際にはない状況を頭の中で仮想させて、対処を考えさせるシミュレーションです。◇◇小さいことでもいい。とにかく考えさせる。事が起きる前に、事態を想定して考えておく。これは戦争や外交に臨む人たちや、、政治家の育成にはきわめて重要です。経営者や社員養成にも言えますね。危険物を扱う人は言うまでもありません。起きる前に考えておくのが薩摩の「詮議」でした。◇◇薩摩藩士の子供は、こんな思考訓練を何千回も繰り返していました。西郷隆盛東郷平八郎はこういう教育土壌の中から出てきた人物と言ってよいでしょう。彼らは物事について起きる前から起きうることを考え抜いて、事前に徹底して備える習慣がついていました。◇◇このままでは、この国は想定外の事態に対処できなくなるのではないでしょうか。子供に「もし、こうなら」と想定して考えさせる判断力練磨の教育が現代においてはもっとも重要です。

 

  

郷中教育の研究 (1978年)

郷中教育の研究 (1978年)

 

 

 

レポート ・郷中(ごじゅう)教育