別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

リニア導入は国家百年の愚策

東京ー大阪間を1時間で結ぶ夢の超特急リニア新幹線

筆者は、それを「リニア導入は国家百年の愚策」と喝破します。

導入は、「移動需要はいまより15%増える」という

不可解な試算に基づいているようです。

大丈夫でしょうか?

 

リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」 (集英社新書)

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そうした失敗を避けるにはどうすればいいのか。筆者の回答はただ一つ。徹底的かつ冷静な事前評価しかない。我が国における成功プロジェクトの代表は、間違いなく東海道新幹線であろう。逆に失敗プロジェクトとして挙げられるのは、東京湾横断道路、関西国際空港諫早干拓、むつ小川原工業基地、福島第一原発核燃料サイクル等であり、海外においては超音速機コンコルド英仏海峡トンネル、フランス高速増殖炉、ドイツのリニア(計画段階で中止)等である。筆者は、国内・海外を問わず数多くのプロジェクトの構想、計画、実施、運営の段階で調査研究や分析評価に関わってきた。失敗の原因はいくつかある。技術的原因の有無に関わらず、ほとんどの例に共通するのは、計画段階での安易な需要想定と甘いコスト見通しにある。換言すれば、詰めの甘さである。

 

着工後に前提を狂わせる主たる要因は、需要の激変、工事費、工期、資金調達、金利水準、工事中の大事故、住民の反対等である。しかし、計画が途中まで進んでいる段階で工事計画を中断したり、断念することはほとんどない。またできない場合が多い。これこそインフラプロジェクトの宿命と言うべきであろう。走り出したら戻れない、止まらない、止められない。残された道は「やるしかない」という選択である。東京湾横断道路、使用済み核燃料再処理施設、高速増殖炉長良川河口堰、諫早干拓、八ッ場ダム等がその具体例である。

 

なぜ現時点にいたるまで、リニア計画の経済性について公開の場で冷静な検討がなされてこなかったのか。JR東海のみならず、政策決定者、利害関係者が問題の本質を理解せず、リニア性善説やスピード神話に取りつかれ、傍観者的な態度をとってきたことに主たる原因があると言っても過言ではなさそうである。前述したようにドイツは、リニアが特殊な鉄道であるがゆえに特別立法までして需要調査を義務付け、専門家からなる委員会で事前評価・再評価を行った。その結果、導入する意義が低いと判断し、連邦議会は着工中止を決定した。なぜ、こうした事実から教訓を学ばないのだろうか。

 

筆者が分析評価対象としてきたのは、事業主体であるJR東海の経営理念、企業体質、財務状況等ではなく、リニア中央新幹線計画の実現可能性である。これまでの分析と検証作業によって得た結果をベースに「リニア中央新幹線計画」に対する総括的な事前評価を以下で行うこととしたい。これまでの分析から、リニアを東京ー大阪間の都市間鉄道として実用化することは、あらゆる視点から考えても望ましい選択ではない。それが、現時点での結論である。