内科や外科など従来の枠組みには属さない「DNA医学」
自分の細胞で病気を治す。
「免疫細胞治療」です。
理屈としては分かる気がしますが、
実際のところはどうなのでしょうか?
巷では怪しげな医者が「免疫治療」を行っていると聞きます。
この治療法は確立されたわけではなく、確立されつつある、
と理解したほうがよさそうです。
「自家細胞」とは、その名の通り「自分の細胞」と言う意味です。つまり自家細胞治療というのは、患者さんが自分自身の細胞を使って病気の治療を行うというものです。本書ではその中でも特に大きな成果が見られる「がん治療」と「再生医療」にスポットを当てています。がん治療は「免疫」、再生医療は「幹細胞」がそれぞれ大きなキーワードになります。
「自家細胞治療」は、DNA医学と言う従来とは異なる
新しい考え方がベースになっています。
「DNA医学」は、内科や外科といった従来の枠組みには属しません。
「人体と病気についての新しい知見」を得たいと思います。
DNA医学では、DNAを単なる「物質」ではなく、「言語」としてとらえています。そのほうがDNAの役割や働きを理解しやすいからです。DNA言語における文字は「A」(アデニン)、「T」(チミン)、「G」(グアニン)、「C」(シトシン)のたった4つです。そしてこれを組み合わせた単語(アミノ酸)の数もわずか20で、この基本的な条件は人も人間以外のすべての生物も全く同じです。
ジェンナーの功績は、調査報告書の形でまとめられた文章として残されましたが、中身はかなり無茶苦茶なものでした。◇◇そもそもこの調査は、事情をまったく知らされていない近所の子供たちを実験台にして行われたものです。◇◇しかしジェンナーが当時使ったのは,精製したワクチンではなく、どんな雑菌が含まれているかも分からない他人の膿です。それを何の説明もなく近所の子ども達に勝手に植え付けたのですから、今なら間違いなく人道上の責任を厳しく問われることになるでしょう。
最初に確認しましたが、免疫システムが目的としているのは、自分と異物を区別して後者を排除するという、ただそれだけのことです。その働きが結果として生体にとってプラスになることが多いので、本書でも免疫を防御システムと言っていますが、厳密には防御システムではありません。実際には免疫がマイナスの側くことも決して珍しくはありません。
一方のiPS細胞は「Induced pluripotent stem cell」の略です。日本語にすると「人工多能性幹細胞」です。iPS細胞づくりに使うのは、ES細胞と違って普通の体細胞です。遺伝子を操作することでES細胞のような分化万能性と自己複製能力を持った幹細胞を作るという考え方です。実際にiPS細胞を再生医療に使うまでには、まだまだ時間がかかりそうですが、期待は高く、周知のとおり日本は現在国を挙げてこの研究をサポートしています。