人の気持ちを考える
ロボットの進歩のスピードは予想を超えています。
今どこまでできるのか。
何が足りないのか。
それを知っておく価値はあると思います。
繰り返し述べてきたように、自分以外の人間の内面、コミュニケーション相手の心のありようは、実体的に存在しない。自分の持っている心のモデルに照らし合わせて、想像するしかないのだ。相手の意図を理解するときには、自分の持っている知識から理解するしかないのだ。人間は「自分であればどうしているか」ということから、「私がこういう発話をするときは、こういう意図を持っている」ことを理解できるし、そこから相手の意図や欲求を想像できる。そういうことが可能なロボットを作れば、対話相手の人間の意図まで理解し、場合場合に応じて「きっとこの人はこういうことがしたいから、こう言ったほうがいい」といった柔軟な対応ができるようになる。それこそが、「一つの質問に対して、ひとつの答えが決まっている」コミュニケーションから数段前進した「人間らしい会話」なのである。