別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

知識に関する価値観の違いは、決定的に重要

再読です。

前回はコチラ

私たちは「設計情報」を買っている - 別荘は買わない

 

「情報を創造」したり、「情報を転写」したりする活動。

そのハタラキと給与水準とのバランス。

解決策を具体化していきます。

 

 

 

つまり人間の労働とは、商品や資産として価値のある「情報を創造」したり、価値のある「情報を転写」したりすることなのである。前者は「創造型労働」、後者は「転写型労働」というわけである。

 

経済学では、生産要素である、原材料、労働力、資本・設備を入力すると、ガラガラポンと製品が生まれてくることになっている。この古典的な経済学的モデルは19世紀から20世紀前半までは現実をある程度うまく説明できた。生産の中心が人や家畜の肉体労働だった時代には、生産システムについて、今日的に明らかに重要な経営資源である知識や情報を明示的に考慮しなくても良かったからである。
つまり、目で見たままの世界をモデル化していれば現実の生産活動を記述することはできたのである。しかし、生産技術が確立され、知識や情報が付加価値創造の中心になった現在ではもちろん時代遅れである。何より20世紀後半から主流になった工学的な現実、つまり第一部で説明したような設計情報やノウハウの創造が付加価値のほとんどを生み出すものつくりの現状から乖離している。そこでは生産システム、つまり情報の転写についての説明はできるが、本質的に価値と利益を生み出している製品開発、つまり情報の創造部分の説明はできない。

 

開業医レベルの知識では全く必要とされないが、現在では、診断精度を高める為のプログラムがIBMのワトソンなどの人工知能で提供され味めている。ソフトウエアの診断精度は人間の医師より平均して10%高い。医療分野の労働はもっとも情報化しやすい典型的な定型労働なのである。現場の医療や調剤作業は創造性や独創性があってはならない。そのため今後は、会計や税務同様情報化が進むはずである。

 

長らく年功序列の人事制度を続けてきた日本企業以外では、収入は個人個人で異なるのが常識である。一般的には創造的知識労働をするタイプのタレントが年収が最も高く、定型労働をするワーカーになるにしたがって平均年収が下がる。つまり実際の利益を生み出す順番で給与水準は決まってくる。◇◇例えば「同一労働同一賃金」といったとき、「何をもって同一か」という基準はこれまで難しいとされてきたが、本章で述べてきたフレームワークでは簡単に説明できることがわかると思う。

 

 

日本では、ほとんどの公務員や医療関係労働者が、ハタラキにたいして給与が割高である。そのため、現在、国の財政や医療保険が赤字になっている。このままいけば国の財政や医療保険制度は確実に破綻する。求められている成果に対して投入されている労働の種類に対する価格の割に、人件費がかかり過ぎだからである。

 

単なるスペシャリストは、知識を活用する「目的」よりも「知識そのもの」にアイデンティティを持っている人が多い。プロフェッショナルも同様である。一方優れたタレントは、知識にせよ職業にせよ「目的」を達成するための「手段」だと考えているところに、際立った特徴がある。そのため、タレントは目的的に知識を獲得し、獲得した知識を手段として使う。◇◇同じ知識労働をする人達でも、知識が「目的」なのか、それとも「手段」なのか、といった知識に関する価値観の違いは、決定的に重要である。同じ知識労働でも、そもそも任せられる仕事の質が変わってくるからである。

 

では、何がタレントとそれ以外の人材の違いを生んでいるのか?それは「創造性」と「非定型性」である。創造性や非定型性とは、目的的に「組み合わせる」力である。つまり知識を組み合わせることでこれまでにない価値を生み出すことである。◇◇では知識の組み合わせとはどういうことか?その知識とはどのよな知識なのだろうか?◇◇つまり目的を達成するためには、まずは組み合わせる対象の知識を広げる能力が必須になる。「知識を獲得する力」の強さがタレントの必要条件なのである。この「知識を獲得する力」のことを「地頭」(じあたま)と言う人もいる。単なる「もの知り」が仕事で役に立たないのは誰もが知っている。知りたければ最近はグーグルで検索すれば用が足りる。◇◇優れたタレントの仕事は、必要な知識を獲得し、あらゆる階層の知識を総動員し、組み合わせ、目的を達成するようなイメージである。それが、結果的に新しい知識を生むこと「地頭の良い人」が新卒採用でも中途採用でも重宝されるのはそのためである。

 

 新しい本が出されたようですね。