別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

ご順にお並びいただけますでしょうか?

再読です。

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ネガティブなことには「大丈夫」 - 別荘は買わない

 

なるほど、と思う「言い換え」の言葉が散りばめられています。

 

説得は「言い換え」が9割 (光文社新書)

説得は「言い換え」が9割 (光文社新書)

 

 

相手が腑に落ちて納得するのは、あなたの主張を、相手が自分の価値観に転じて吟味し、その結果、「なるほど」となるからである。すなわち「言い換え」とは相手の価値観や関心事に置き換えて提示することでもあり、人間関係における「実戦心理術」なのである。

 

 

橋下市長は、カジノを中心とした統合型リゾートを大阪に誘致すべく奮戦しているが、ギャンブル依存症の助長や治安問題の懸念に対して、「課題があるんだったら、それをどう乗り越えましょうか、というところに発展がある。」と言い返した。
「課題がある⇒反対」という論理を「課題がある⇒乗り越える⇒そこに発展がある⇒賛成」という論理で切り返したのである。

 

たとえば、相手の努力不足を責める場合。「バカ者!」と怒鳴りつけたのでは、(俺だって一所懸命やったんだ)と口をとがらせる。盗人にだって「三分の理」があるのだから、頭ごなしに責められたのでは頭にも来るだろう。相田みつをの書は、こんな風に言う。「やれなかった やらなかった どっちかな」どれだけ努力したのかは、お前さん自身が判断しなさいと振られれば、「私の努力不足でした」と人間は素直に謝るものだ。

 

たとえば、昼時のレストラン。「恐れ入りますが、ご順にお並び下さい」と言うのは言葉遣いこそ丁寧だが、二流である。ちょっと気の利いたマネージャーであるば「ご順にお並びいただけますでしょうか?」と疑問形の言い換えでお願いをする。客にしてみれば「並んでもらえるか」という問いかけによって「じゃ、並びましょう」と自分の意志で決断したものと錯覚するため、待たされても不満が出ないというわけである。

 

 

疑問形に対する回答は「自分の意志」であり、「自分が決める」という主体性をキープしたままであるため、反発心が起こりにくい。たとえ右に行くのが正しいと考えていたとしても、「命令された」ということに対して人はカチンとくるのだ。ここで強調したいのは、要はニュアンスを和らげることが第一義のポイントだということ。それによって、「命令されている」という状況から、あるいはその内容から少しでも注意をそらすことができるのだ。

 

ところが、「早まるな。将来のために、ここは我慢だぞ」と「将来」を引き合いに出して、「あなたの立場」で言い換えれば(ちょっと、待てよ)と考え直すことにもなるのだ。◇◇どんなに過酷で悲惨な状況にあろうとも「現実」から「将来」に視点を変えることで、若手はいかようにも手のひらで転がすことができるのだ。 

 

「買ってください」という言葉を「ご感想をうかがえますか?」と言い換えるのだ。「どうです、この新車」「買い替える気はないんだ」「はい、結構です。できれば、私どもの参考として、ご感想など聞かせていただければありがたいのですが」ニッコリ笑ってサービスのグッズでもプレゼントすれば「しつこく売りつけられるのではないか」という心理的圧迫から客は解放される。◇◇こうして2、3度、顔を合わせることができれば客のホンネもわかってくるだろうし、買い替えのネックになっている理由も見えてくる。そこを攻めていけばいいのだ。 

 

 

岩崎弥太郎と言えば、三菱財閥の創始者で、明治の動乱期に政商として巨利を得た人物として知られるが、こんな言葉を遺している。「得意先の番頭や小僧に頭を下げると思うから悔しくなるのだ。今後はこの扇子を開き、小判に頭を下げると思ってやるがいい」そう言って弥太郎は一枚の小判を扇子に張り付けたという。明治維新によって世の中がひっくり返り、士族は商人になったもののプライドを捨てきれず、得意先回りをして頭を下げることに屈辱の涙を流していた。これでは商売にならない。そこで弥太郎は、「頭を下げる」という過程をすっ飛ばし、「相手は小判だ。気にするな」と「結果」に目を転じさせたというわけだ。

 

 

ここで紹介するのは民族性に応じた言い換え術であり、「民族性」を「個人」に置き換えれば、会社など対人関係でも使えることになる。
まず、様々な国の人間が乗った豪華客船が沈没しそうになる。「海に飛び込んでください!」と言ったのでは当たり前すぎて、客たちは積極的に行動しないだろう。客たちをその気にさせるため、船長はこう言い換えた。
まずロシア人には海を指さして「あっ、大変、ウォッカの瓶が流れています!」
イタリア人には「見てください!美女が泳いでいます!」
フランス人には「決して海には飛び込まないで下さい!」
イギリス人には「こういう時にこそ紳士は海に飛び込むものです!」
ドイツ人には「規則ですから飛び込んでください!」
アメリカ人には「あなたには保険金がかかっていますから、安心して飛び込んでください!」
そして日本人に対しては「みなさん飛び込んでますよ!」
ついでに日本をライバル視する韓国人に対しては「日本人はもう飛び込んでますよ!」
と煽る。

 

人間には、水に落ちた犬は助けるのではなく、叩くというサディスティックな一面がある。非道を犯したワルが、市中引き回しの上、獄門さらし首にされるのを見て、「ざまあみろ」と溜飲を下げるのが人間だ。◇◇このことからドジを踏んだり、図らずも悪行を働いた時は「言い訳」を「謝罪と反省」の言葉に置き換え、「そこまで謝らなくても」と世間の同情を得られれば、まさに「禍を転じて福となす」になるというわけである。

 

「ダメだね」と言下に否定されたら、客はムッと来る。◇◇ネガティブなこと⇒大丈夫、ポジティブなこと⇒慎重に、と対比的に言い換えてみせるのが、相談に対する回答の基本原則ということになる。もしあなたが人生相談を受けたときは、この対義語を用いた言い換えを念頭にアドバイスすればいいのだ。 

 

・上見りゃきりなし、下見て暮らせ

・最下鈍(さいげどん)の者も、12年を経れば、必ず一験(いっけん)を得ん

 ・明日ありと 思う心の 仇桜(あだざくら) 夜半(よわ)に嵐の 吹かぬものかは

 覚えておこう。