映画「ジェロニモ」を観るとよくわかる
開拓者精神を大義とする白人によって土地を追われたアメリカ先住民。
先日採り上げた映画「ジェロニモ」にも描かれていました。
福島で被災した人たちの中には、原発事故によって先祖伝来の土地から引き剥がされただけでなく、それまで続けてきた生業をあきらめなければならなくなった人が多く含まれる。さらに、移住先では全く違う生活環境に順応しなくてはいけない事態に直面している。このことをオーウェンさんに伝えると、彼は言葉を選びながら、ゆっくりとこう話した。「自分たちの先祖も狩猟から農耕に生活様式を変えることを強いられ、部族の伝統と言語を禁止され、英語を話すことを強要された。被災者と先住民が歩んできた歴史は不幸なことにダブっている」
これまでおよそ23年間にわたって、私はアメリカの先住民社会を歩き、移民社会の「辺境」に生きる人々の声に耳を傾けてきた。訪れた居留地は100以上にも及ぶ。アメリカでも語られる機会のほとんどない、先住民が直面する現実に視点を据えることによって、多民族国家が抱える問題をより深く考えることができると思ったからだ。