別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

4回読んでも少しも古くなっていない

死の家の記録」「罪と罰」「白痴」「悪霊」「カラマーゾフの兄弟」の

5作品を論評。

罪と罰」は学生の頃に読みました。 

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

小説家が読むドストエフスキー (集英社新書)

 

 

罪と罰」が世界文学としては傑出してよく知られる小説です。
◇◇
今度私も読み直してみて、やはりたいしたものだと感心しました。私は全部で4回読んでいます。学生時代にも読んだし、小説家になった37、8歳の時にも読んだし、それから数年後に書いた「ドストエフスキイ」、中公新書で今でも出ておりますが、これを書いた時にもういっぺん読み直しまして、今度が4回目になります。しかし4回読んでも少しも古くなっていない、不思議な小説です。

 

ドストエフスキーの人物は矛盾に満ちている。善い人間かと思うと悪い面も持つし、非常に穏やかで温厚な人間かと思うと突然興奮し始めるし、悪いことは絶対しないかと思うと殺人も犯すし、読んでいると非常に意外な面が次々に出てきます。私は学生時代にドストエフスキーを読んだときに、これはものすごい作家であると感じたし、自分が小説を書きだす時も、やっぱりドストエフスキーのように・・・と思いました。埴谷雄高が、20世紀の作家はすべてドストエフスキーの肩の上に乗っている、ドストエフスキーから離れることはできない運命にあると言いましたが、まあドストエフスキーを読まずに小説を書き始めた人は私の周辺を見回してもいないようです。

 

 

ドストエフスキイ (中公新書 338)

ドストエフスキイ (中公新書 338)