中産階級の多くは下層化していく
物価の上昇が顕著になってきました。
政治主導とみられる円安は125円台まで進み、
輸入原材料高騰により、
食品の値上げが次々と発表されています。
デフレ、ディスインフレーションは先進国共通の現象で、グローバリゼーションに伴う構造的なものなのです。とすれば「デフレ脱却」は決して容易ではありません。というより、そもそもその必要はないのではないでしょうか。物価の安定は消費者にとってプラスですし、生産者の側もデフレ、ディスインフレを前提にして業務のグローバル化を進めています。インフレ率を無理やり2%にする必要が一体どこにあるのか、少なくとも筆者は理解に苦しみます。
成長の時代を支えたのは中産階級でしたが、今や中産階級は二極化しています。水野和夫はその原因をグローバリゼーションだとして次のように述べています。
◇◇
つまり日本の中産階級は分解し、多くは下層化していくというのです。
どうしてグローバリゼーション下で中産階級の二極化が進むのか。これはきわめて単純なメカニズムです。今まで国内で行われていた生産活動等がグローバルに展開すれば、日本の多くの中産階級の人々は中国やインドの人達と競争しなくてはなりません。後者の賃金のほうが圧倒的に低いのですから、同じ作業をしている場合には、賃金は大幅に下がらざるを得ません。逆に、中国やインドの人達によって置き換えられないような仕事をしている人たちの賃金は相対的に高くなります。サラリーマン全体の賃金は低下しますが、いわゆるプロフェッショナルのそれは維持されるか、むしろ上昇するのです。つまり、サラリーマンは、ルーティン作業をする「ホワイトカラー」と「プロフェッショナル」に分解していく訳です。そして、プロフェッショナルになれる人々の比率はかなり低いですから、多くの中産階級は没落していくということになります。