人は「インセンティブ」に反応する
とてもわかりやすい。
おすすめです。
なかでも一番重要なのは「インセンティブ」。人によっては、経済を考えるヒントはこれ一つでいいというくらいに決定的に重要だ。直訳すると「誘因」になるんだけど、少しニュアンスが違ってきちゃうんだよね。◇◇でも「誘因」と言われてもピンとこないでしょ。だから、これまでは「飴と鞭」と表現してきたんだ。こっちのほうがイメージがわきやすい。
誘因:ある事柄を誘い出す原因。「物価上昇の―」(提供元:「デジタル大辞泉」)
人はインセンティブに反応すると言っても、世の中、なんでも無制限にあるというわけではない。ニンジンでも鞭でもそうだ。
◇◇
そこでものをいうのが「トレード・オフ」。使える資源とか予算には限りがあるということで、要するに「あちらを立てればこちらが立たず」
成果主義って実は難しいものでね。日本の社会で導入したところもあるんだけど、うまくいっている例って少ないんだ。コンサルタントの城繁幸氏の出世作で、おそらくこれまでの最高傑作でもある「内側から見た富士通-成果主義の崩壊」によると、成果主義を採り入れたら、逆にみんな上司の顔色をうかがいながら仕事をするようになってしまったんだそうだ。成果を上げるよりも、上司に可愛がられたほうが実際のところ出世につながるから、そっちがインセンティブになってしまったっていうんだね。
債務については「総債務(グロス債務)」と「純債務(ネット債務)」を区別することが大事だ。総債務がこれまでの借金証書の山。そこから政府資産を引いたものが純債務。日本の総債務はたしかに1000兆円だけど、資産もたんまりある。純債務は320兆円くらいなんだね。この純債務が事業に見合っているかどうかを見るには名目GDP( 国民総生産)で割ってやればいい。いきなり専門用語だけど、名目GDP というのは、国民が1年間に稼ぐ給料やボーナスや配当収入の合計。これが2011年にはだいたい470兆円だったから、7割弱の借金ということになる。先進国でも4~5割の債務があるのが普通だから、まあ確かにちょっと多いけど、財政危機!と騒ぐほどのものではない。
「比較優位説」
「比較優位説」についてはすでに何度か触れているけれど、ここめでは「トレードする双方に利益が生まれる」「天才も凡人もお互いに必要としあっている」といった簡単な説明で済ませてきた。歴史的には19世紀にデヴィッド・リカードゥが唱えた、経済学の大、大、大前提となっている理論で、自由貿易を肯定する最大の根拠でもある。
比較優位説のポイントは、思い切り絞り込んでしまうと、「多様性を生かすこと」であるということができる。もっと言い換えるなら、この世に無駄な人間も、無駄な国もないということ。これを超感動的でヒューマニズムに満ちたことと受け止める人もいるかもしれないね。
<貨幣価値の測り方>
2012年に1年間暮らすのに400万円必要だったのが、3年後の2015年には300万円になったとしよう。1年間の暮らしに要するモノやサービスは一定だった。
すると、1円の価値は?2012年 1年間の暮らし/400万円
2015年 1年間の暮らし/300万円
2012年より2015年のほうが1円の価値は高い。
<物価>
貨幣価値とは物価の逆数である。
そして、
貨幣の価値が上がる=デフレ
貨幣の価値が下がる=インフレ
<為替>
日本円の価値が上がる=円高
日本円の価値が下がる=円安
つまり、
所得が一定でも1円の価値は上がったり下がったりする。
貨幣の価値が上がるのがデフレであり円高である。
貨幣数量説とは
「マネーと物価は比例の関係」つまり
マネーの量を増やすと物価が上がる(インフレになる)
マネーの量を減らすと物価が下がる(デフレになる)
http://www.findai.com/yogow/w00369.htm
貨幣数量説の考え方自体は単純で、「貨幣の量と物価は比例する」ということ。「貨幣の量で物価はコントロールできる」と言い換えることができる。◇◇貨幣に対する需要が超過しているとき、モノやサービスの市場は超過供給(需要不足)になっている。この状態がデフレ。貨幣が超過需要になっている、というのは、貨幣自体を人々が欲しがっている状態。それは「流動性選好」が強すぎて、人々がモノやサービスよりもマネー自体を持ちたがる状態。それがデフレ。ここで貨幣数量説に立ち返ると、人々がマネーを抱え込んでいるから、流通するマネーが減って物価が下がっていることになる。◇◇リーマンショック後、アメリカの中央銀行であるFRBは徹底的に緩和的な政策を採って通貨量を急激に増やした。ところが、日銀だけは「動かざること日銀のごとし」で、ほとんど何の手も打たなかった。その結果他国に比して円の流通量だけが著しく少なくなった。◇◇例えばある自動車を買うとして、円で買おうとドルで買おうとこの自動車の価格は変わらないはず。円ドルの為替レートは一物一価を目指して均衡していくことになる。これを「購買力平価説」という。◇◇貨幣数量説によれば、物価はマネーの量に比例するから、結局、為替レートは両国の貨幣供給量の比率で決まる。ということになる。円ドルレートは、日本の貨幣供給量÷アメリカの貨幣供給量の計算式で、 アメリカの貨幣供給量が大幅に増えたためこの式の値は小さくなる。つまり1ドル当たりで買える円は少なくなる。要するに円の価値が上がって円高になった。