別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

光の経路がカーブを描く

「ふしぎだと思うこと」

いくつになってもそれを大事にしたいと思います。

 

入門 現代物理学 - 素粒子から宇宙までの不思議に挑む (中公新書)

  

月がすっぽりと太陽を覆い隠す皆既日食が起きると、普段は太陽の輝きで見えない星の観測が可能になる。この時、太陽の真後ろの方向にある星は、もし光が直進するのであれば、太陽にさえぎられ地球には届かない。ところが、太陽の重力場によって光の経路がカーブを描くとすれば、星の光は地球に到達することになる。

  

こういう経緯でハッブルの法則は発見された。
発見された法則は宇宙が一様に膨張していることを示していた。宇宙は静的ではなく動的であったのである。ただし、膨張しているとはいっても、宇宙の中心が地球というわけではない。宇宙には、中心など存在しない。どこで観測しても、ハッブルの法則は同じように成り立つのである。つまり、銀河は互いに遠ざかっており、それらを包み込む空間そのものが膨れ上がっているわけである。
さて、そうなると、時間を過去に遡れば、逆に宇宙はどんどん収縮し小さくなる。そして、いつかは点に収まってしまう。点に帰した宇宙の姿を現代の物理学は空間的にも時間的にも具体的に描くことはできないが、ともかく、宇宙には始まりがあったことになる。始まりから今日までの時間、つまり宇宙の年齢はハッブルの法則の観測データから計算され、それが現在、先ほど述べた約138億円という値とされている。

 

地球もニュートリノにとっては、難なく通り抜けてしまう「透明」な球体に過ぎないわけである。ライネスらの実験では原子炉を使って人工的にニュートリノを作り出しているが、自然界でもニュートリノはごく普通に発生しており、宇宙から地球に降り注ぐニュートリノの数だけでも一平方センチメートル当たり毎秒600億を超える。アップダイクが詩に書いたようにそれは恋人たち------に限らず、すべての人間-------の体を貫通しているわけであるが、幸い痛くもかゆくもない。相互作用をほとんどしないからである。

 

念を押すまでもなく、ニュートン力学相対性理論もともに、同じ物理学の理論である。でありながら、両者の間には、たとえば、速度の上限や合成則、時間や空間の概念などに根本的、本質的な差異がみられる。ニュートン力学が適用される世界の常識は相対性理論に委ねられる世界に入ると、全く通用しなくなるわけである。

 

ふしぎだと思うこと

 これが科学の芽です

よく観察してたしかめ

そして考えること

 これが科学の茎です

そうして最後になぞがとける

 これが科学の花です

朝永振一郎