料理を科学する
今までよくわからなかったことがストンと腹に落ちます。
科学のおかげです。
炒める/焼く
炒めものは焼きものの一種だ。火と材料との間に鉄板があるから間接焼きと言える。ただ、焼きものは、火に接している底部と材料の中心部との温度差が大きい。火の通りをよくするために炒めものは材料を小さくするのだ。小さいからひっくり返さずに、かき混ぜればよい。
性質が異なる材料を一緒に加熱することで、新しい味が生み出される。材料が小さいから、うま味の成分が外に出てきやすく、各々が混じりあうのだ。また、大きな食材全体を均等に味付けするのは難しいが、小さければ加熱途中で調味料を入れても、材料に味がついてくる。
言い換えれば、小さな材料だと、周囲のうま味を吸い込みやすく、同時に外へうま味や栄養成分を流出させないということだ。
調理とは、生の食材を人間が消化できる、または消化しやすい状態に変化させることだ。調理の多くは、食材に熱を加えて余分な水分を追い出し、タンパク質やデンプンを消化できる形に変性させる。
揚げる
200℃近くの油に、水で溶いた衣をまとったタネを落とす。水は100℃で水蒸気に変わるため、瞬時に衣から水の蒸発が始まる。揚げ物のまわりにジャーッと沸き立つ泡は、衣からさかんに蒸発している水蒸気だ。ドロドロしていた衣は、見る間に乾燥し、カリッと固まってくる。水の抜けた瞬間には、熱い油が入ってくる。水と油の配置転換だ。
煮る
熱くなった煮汁はそこに入っている食品に熱を加えるのだが、この時、水の浸透力によって食品を柔らかくしながら、煮汁に含まれた調味料や出汁の成分を染み込ませて味や香りをつける。これが煮ものの特徴だ。食品を全く味のついていない水やお湯の中に入れて加熱することは「茹でる」と言って「煮る」と区別するのが普通だ。
電子レンジ
電子レンジの中には、マグネトロンという真空管が入っており、そこから発せられる電波(2450メガヘルツの強力なマイクロ波)を食品に当てることで加熱するのだ。でもなぜ、電波を当てると食品が加熱できるのだろうか?
通常「電波は」ほとんどの物体を通過していくのだが、「水には吸収される」という性質を持っている。つまり、マグネトロンから発せられたマイクロ波のエネルギーは、食品の中に含まれている水分に吸収されるのだ。そして、このエネルギーが水の分子を構成している電子を高速回転させることにより、分子と分子が振動してこすれあい、摩擦熱が発生するというわけだ。
浸透圧
砂糖が大量に含まれているとどうして腐りにくいのだろうか。大量の砂糖が含まれていると、浸透圧の働きにより、その食品の細胞から水分が外に出てしまい、そこに棲む微生物が一種の脱水状態に陥り、発育できなくなるというわけだ。
◇◇
魚に塩をふる効用はこれだけではない。ふった塩は魚の表面の水分に溶け、濃い塩水になる。細胞の内部ではこれを薄めようとして浸透圧が働き、内部の水分が引き出されるために身が締まり、そのあとで魚を焼いても身崩れしにくくなるのだ。
◇◇
例えばキュウリの塩もみや漬物を作るときに多めの塩をふるが、これは塩味をつけるためだけではない。食材の内部から水分を絞り出すためでもあるのだ。
こうした脱水症状が起こる秘密は、野菜や魚、肉などの生きた細胞を覆う薄い特殊な膜「半透膜」にある。半透膜は、膜の内側と外側に濃度の異なる二種類の液体があった場合、両方の液体が同じ濃度になるように調節する。つまり濃度の低い方から高い方へ向かって、選択的に水分を通過させるのだ。この時、膜の両側にある液体の濃度差によって生じる圧力を「浸透圧」と呼ぶ。
昔習った浸透圧。
当時はよくわかりませんでしたが、
少しわかってきました。
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