不仲の夫婦をうまくとりもつのが猫である
決して品が良い本とは言えませんが、
夏目漱石、坪内逍遥、伊藤博文、岡倉天心、武者小路実篤、野口英世、新渡戸稲造、芥川龍之介、開高健、小村寿太郎、幸田露伴、岡本かの子、岩野泡鳴、永井荷風、谷崎潤一郎、色川武大など、それなりに名を成した方々の裏面史が綴られています。
えっ、あの人が!という、今まで知らなかったことを知る、知らなくても良かったことを知る、知る必要のないことまで知る、という意味では興味深い本だと思います。
私は結構好きです。
一匹の黒猫が千駄木の家へやってきた。猫嫌いの鏡子は外へつまみ出すが、いくらつまみ出しても家の中に上ってくる。泥足のまま上り込んでおはちの上にのった。誰かに頼んで捨ててきて貰おうというと、漱石は「おいてやったらいい」といった。
夫婦の修羅場は、一匹の黒猫によって修復されたのである。