地域の中でお金を回す
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く (角川oneテーマ21)
- 作者: 藻谷浩介,NHK広島取材班
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/07/10
- メディア: 新書
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「里山資本主義」とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうという考え方だ。お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを、あらかじめ用意しておこうという実践だ。
高校で習ったのを覚えておられる方もいるだろう。「矛盾する二つの原理をかち合わせ、止揚(アウフヘーベン)することで、一次元高い段階に到達できる」という考え方を弁証法という。この弁証法的思考を生んだのがドイツ語文化圏だ。そこに属するオーストリアで、マネー資本主義的な経済成長と同時に、里山資本主義的な自然エネルギーの利用が追求されていることは、むべなるかなといえる。
高校時代の漢文の教科書にあった荘子の一遍を思い出す。「混沌」というのっぺらぼうのような生き物の挿話を。好意で「混沌」に目と鼻と口と耳を開けてやったら、意に反して「混沌」は死んでしまった。何が何だかはっきりしないことを、はっきりさせようと作為することで、逆に価値を損ねるということもあるのだ。
混沌のはなし。
そんな話ありました。
日本は国と地方あわせて1000兆円もの借金を抱えている。今後いつごろまでにどうやって返していくか、目途が立たないばかりか、高齢化はますます進む。働かなくなった後、生活の頼りとなる年金に病気になった時の医療費、一人で生活できなくなった時の介護保険。お年寄りばかりの国になるのだから、必要なお金は膨らむ一方だ。危険は膨らんでいる。
いつごろまでにどうやって返していくのでしょう。
金額が大きすぎて具体的に考えることを停止したくなる借金です 。
しかし、他人事ではありません。
子孫に禍根を残さないために。