この世に属する「向こう側」
ヨーロッパ思想を読み解く: 何が近代科学を生んだか (ちくま新書)
- 作者: 古田博司
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/08/05
- メディア: 単行本
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普通の日本人にとっては、向こう側の世界とは異界、すなわちあの世ということになるね。でも、西洋の伝統的な思考では、この世に属する「向こう側」というものがあると考えるんだ。
ビジネスマンが会社の生き帰りの通勤電車の中で超越してもよい。あるいは公園のベンチで直観を得る。自分のプレゼンには根拠がなくて不安である。しかし、急に「向こう側」から戦略的直観が飛来する。目標と収穫が稲妻に照射されるように見えてくる。こういうことはよくあることである。本人が自覚していないだけだ。
考えてみれば、我々は、すでに「向こう側のために生きる」ことを無自覚でやってきている。科学で向こう側ににじり寄り、数学で超越し、営業の途中で直観を得る。そのような研究者やビジネスマンの先人たちのことを、学校と社会において学び続けてきたのであった。
日本人に一般的に「向こう側」の感覚はない。
たしかにあまり意識したことはありませんね。