法の不知は害する
その「つぶやき」は犯罪です: 知らないとマズいネットの法律知識 (新潮新書)
- 作者: 神田芳明,前田恵美,深澤諭史,香西駿一郎,鳥飼重和
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/05/16
- メディア: 単行本
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しかし実は、金儲けをしようとしたかどうかで違法か合法か、あるいは罪に問われるか問われないか、の判断が変わることはほとんどありません。
ここで原則を確認しましょう。インターネット上で、「表現」つまり書き込みなどをする場合には、「他人の権利を侵害しない」ために、一定のルールがあります。主に問題になる権利は三つあります。①名誉権②プライバシー権③著作権です。
こうした権利を侵害した場合、権利者から訴えがあれば、賠償をしなければなりません。さらに、このうち名誉権と著作権の侵害については、犯罪行為にもなります。
ここで重要なのは、権利侵害になるかどうかと、侵害した権利によってお金を設けていたかどうかは、関係がないという点です。
例えば他人の音楽や動画を公開するとき、それが無料公開であっても、無許可で行なえば権利侵害になります。それが善意からであろうが、結果として著作者の宣伝になろうが、関係ありません。
ブロガーBさんの話を聞いていると、自分の行為が名誉棄損になるという自覚が無いようです。同じようにネット上の犯罪においては、捕まった人間が「悪いことだとは知らなかった」と弁明することが多いのです。
しかし残念ながら、これも責任を逃れる理由にはなりません。法律の世界では、「法律を知らなかった」ということは何の言い訳にもなりません。これを法律の世界の格言で「法の不知は害する」と言います。法律を知らなかったことを理由にして責任を免れることはできない、という意味です。
[法律全般]「法の不知は害する」について - 弁護士ドットコム
著作権者の明確な許諾なく著作物をウェブサイトに掲載する場合には、著作権を侵害しないために引用のルールを守る必要があります。◇◇引用に当たっては、出典を記載するなどして、他人の著作物の出所を明確にする必要があります。 このような公正な慣行に合致し、正当な範囲内で適切に引用がなされた場合には、著作者の承諾がなくても著作権侵害になりません。◇◇どこまで適法な引用といえるかについて、最高裁は自分の著作物と引用した著作物を明確に区分できるという用件(明瞭区分性などといいます)と、自身の著作物が主で、引用した著作物が従であるという要件(主従関係、附従性などといいます)の二つの要件を基準として示しています(昭和55年3月28日最高裁判決)。
このブログは引用が従と言いにくいところはありますが、引用そのものは対象本のごく一部であり、しかも特にあらたまって文芸批評をするわけでもなく、単なる個人の備忘録として利用しています。最高裁判決に照らしていかがでしょうか。甘いですか。