別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

無農薬・無肥料のリンゴ栽培

ただただ頭が下がります。

1978年頃から無農薬・無肥料栽培を模索。10年近く収穫ゼロになるなど苦難の道を歩みながら、ついに完全無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功。

 

リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)

リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)

 

 

 リンゴが教えてくれたこと (日経ビジネス人文庫)

 

 

よくやめなかったなと思います。何で好き好んで貧乏してきたのだろう。無農薬を始めてから11年はあまりにも長かったです。無収穫時代が9年もありました。同じ津軽で私と同じような無農薬栽培に挑んだ先人が何人かいます。私もその畑に何度も足を運びましたがやはり継続できません。経済的に3~5年が限界でした。

 

物心ついた頃から、親たちは何種類もの農薬や殺菌剤を混ぜ散布していました。栽培の手伝いをするようになって、農薬を攪拌する手につき皮が剥けたり、やけどしたりしましたが、なんともないことと思っていました。その時代は劇薬のパラチオンも使われていて、散布の後はリンゴ畑の周辺にドクロマークの三角旗が立てられていたのを覚えています。

 

当時小学6年生だった長女が「お父さんの仕事」という題の作文で「お父さんの仕事はリンゴづくりです。でも、私はお父さんの作ったリンゴを一つも食べたことがありません」と書きました。これにはズシンときました。食べさせたくても一つも実らないから食べさせてやれないのです。

 

こんな山の中でなぜ、農薬を使っていないのにこれほど葉をつけるのか。なぜ虫や病気がこの葉を食い尽くさないのか。その木の前に呆然と立ちすくんでいました。辺りは何ともかぐわしい土の匂いに満ち溢れ、肩まである草をかき分けると、足元はふかふかで柔らかく湿気があります。雨のせいではありません。クッションを敷き詰めたような感触です。そして突然稲妻に打たれたかのように「これが答えだ」と直感しました。

 

お米の試験をしました。有機米(新JAS法認定)と自然栽培米。結果を早く見るために炊いたご飯をコップに入れて実験しました。新JAS法のお米はわずか2週間で腐りました。チョコレートのように下の方から溶け出しました。一方、何も施さないで作ったお米は何一つ変わりませんでした。最後はアルコール発酵して酢になりました。
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この実験は簡単で、毎日食べているご飯でできます。お米が隠れる程度に水を入れてラップで包み、箸で穴を二つくらい開け、一番日当たりの良い所へ置いてください。ただそれだけです。するとお米は本来持っている性質を現します。2週間したらどんな状況になっているか。

 

山の上というのは窒素、リン酸、カリがほとんどありません。それなのにあれほど草木が元気に育ちます。
ということは科学の常識が実は違うのではないか、という疑問が生じます。要は根が這って行きやすい、酸素が入っている土を作ってやればいいのではないかと思うのです。

 

北海道のある農業試験場長と話していたら「今の研究生は対症療法しか知らない。病気が出て何が原因で発生したのか調べる前に、すぐあの農薬、この農薬と答えを選び、使おうとする」と、嘆いていました。