別荘は買わない

つもりです・・・が先のことは誰にもわかりません。

遵守に蝕まれる

 

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

思考停止社会~「遵守」に蝕まれる日本 (講談社現代新書)

 

 

裁判員制度の導入が検討されたとき、アメリカ型の陪審員制度の導入を求める日本弁護士連合会などと、ヨーロッパ型の参審員制度にとどめたい裁判所や法務省との間で大きな意見の食い違いがありました。二つの制度の背景にある考え方の違いを十分認識しないまま、両者を混ぜ合わせて妥協した結果、事件ごとに選挙人名簿から無作為で選ぶ裁判員と職業裁判官からなる合議体(原則的に裁判員六人、裁判官三人で構成)が事実認定だけではなく死刑を含む量刑の判断まで行うという、世にもまれな国民の司法参加制度が出来上がったのです。

 

マスメディア報道で「法令違反」「偽装」「隠ぺい」「改ざん」などの事実が指摘されると、当事者は一切の反論ができず、まさにその場にひれ伏すような状態になってしまいます。耐震強度偽装問題で、世の中の関心が「偽装」という不正行為だけに集中したことにも、偽装にかかわった者すべてがあらゆる法令で処罰されたことにも、マスメディア報道が大きく影響しています。一連の食品偽装問題で、不二家から伊藤ハムに至るまで多数の食品企業を叩き続けてきたのもマスメディアです。経済司法の貧困という問題が国民には殆ど認識されていないのも、マスメディアが検察などの司法機関に対して批判的な報道をほとんどしないからですし、裁判員制度の抱える重大な問題も、殆ど報道せず、裁判員制度開始に向けてのキャンペーンに協力しています。そして、厚生年金記録の改ざんをめぐって、社保庁の組織が丸ごと犯罪者集団のように報道してきたのもマスメディアです。