一番楽しいとき
そんなこんなで行きつ戻りつ結局八ヶ岳に決まった。あとは実際の土地探しだった。思えばこの頃、夢のつぼみが膨らんだ頃が、一番楽しかったなあ。カミさんは車の免許を取りに教習場に通い始め、僕は事務所の根本君と暇さえあれば八ヶ岳通い。気持ちはすっかり八ヶ岳に飛んでいたっけ。
よく聞きますよね。別荘は作る前が一番楽しいって。
武蔵野の近くに親しい焼鳥屋さん。十人入れば満杯の「八起」。ここのご主人の米沢さんは、もちろん炭火で焼鳥を作る。「だってさ、炭火は面白いんだ。」という。何が面白いんだろう?「俺はね。ガスだったら、こんなに長く店やってなかったと思うよ。炭火には、ほんのちょっとした、こちらの手加減をちゃんと理解してくれるところがあって、強火の時はモリモリと熱く、弱火の時は女との別れ話みたいにそっとそって燃えてくれる。うちわかげんでどうにでもなるんだよ。」「それにね」と米沢さん。「火って楽しくてあきないものなんだよ。」
暖炉で燃える薪の火。
ず~と見ていてもあきませんね。